「来週役員プレゼンやってもらう事になったから」と無茶ぶりされて胃痛になった話

昔の話だけど、直属の上司から無茶ぶりされた。例えていうなら、先輩がやってる某業務について、引き継ぎも受けてないのに明日、取引先に説明しにいってくれという感じ。「え?時間もあるんだから一度くらい一緒に行かせてほしい…」と思った。冷静に考えて、非効率だ。既にノウハウや手順もあるのに、なぜわざわざ手探りで一からやらねばならないか。相手にも迷惑な話じゃないか。一通り話を聞けば不要なミスを省いてより合理的に仕事も進められるし、成果も変わってくるはず。先輩も驚いてた。なので、そこは思い切って上司に、「引き継ぎとして一度は先輩と一緒に行かせて頂けませんか」といった。渋い顔をされたものの、了承してもらえた。しかし、後日。その行動について、上司は「消極的で、失敗を怖れている」と捉えてたことを知った。私は間違ってたんだろうか?

 

自分としては、消極的なつもりは全くなかった。失敗を怖れているというのも正確ではない。あくまで「効率的に」ものごとを進めたかった。なんでも一回目というのはミスや無駄が多いもの。相手にも迷惑がかかる。趣味や遊びならまだしも、仕事だ。仕事は組織で取組んでいるのだから、より効果的な結果になるように「準備」するのが当然だと思っていた。ただ、その時は「上司には上司の哲学でもあるのか、はたまたシバキアゲ系か…」とモヤモヤしてしまった。

 

そして後日、今度はもはや決定事項としてソレは降ってきた。

 

「来週にある、今度の役員へのXXXプレゼン、森さんに担当してもらうことになりました。」全部署宛のメール展開。既成事実。ま、まじか…と半分青ざめつつ、上司に確認すると、「資料は共有されたものもあるし、これまでも少し携わってたわけだから、難しくないでしょ」と。いやいやいやいや…携わったっていってもほんのひとつまみ程度の深さで、しかも人の作った資料って逆に分かり辛いこともあるし(ほんとに)、説明の流れも変えなきゃいけないかもだけどそんなに時間もないし、なにより役員とか会ったことない人なんですけど…情報皆無なんですけど…。相当焦った。そして

上司「俺もAさんもBさんもCさんも同席するから、心配するな。」

逆にプレッシャーだった。公開処刑されると思った。周りで見られてる方が緊張する。まだ1人で行かされた方が必死になれる気がした。それから数日、プレッシャーで胃痛がした。でもお腹抱えても時間が過ぎるばかりで仕方が無いので、他の業務に追われつつも、改めて資料を見直し、他の資料もほじくり返し、分からないところを上司に聞きまくり、渋い顔されても自分が理解出来るまで言葉を言い換えて確認した。あらかじめプレゼンの「台本」を自分の言葉で作り直し、家では鏡に向かっても練習し、録音して聞いたりもした。土日にも「来週プレゼン…」と頭をよぎった。

 

そして当日。あまりの時間のなさに当日直前まで準備しようと思っていたら、よりにもよって別の緊急会議がガンガン入り、また別の仕事の緊急の資料作成業務もぶっこまれ、脳内リハーサルすら出来なかった。もう絶対絶命的な気分だった。けど、幸運だったのは、当日、ギリギリの調整のところで自分オリジナルに作っていた補助資料を持ち込めることになった。超ラッキー…。補助資料を手元に置きながら、上司とその仲間達に見守られつつ(?)、プレゼンが始まった。

 

結果は…褒められた。

「森さん、説明うまいじゃん。」

そう上司に言われたのは、少しでもモチベーションあげるための上司テクニックなのか、本当にそう思ってもらえてるのかは未だに分からない。。。けど、驚くことに、その後、案外自分でも業務の内容が前より俄然分かるようになっていた。当たり前だ。自分で色々調べて、自分でも資料(補助用だけど)を作ったんだから。

 

今考えると、上司の言い方は分かり辛いものだったし、やっぱり引き継ぎはちゃんとするのがベターだとは思うけど、意図してたことは分かる気がする。多分、上司は自分でやってみないと本当に出来るとは言い難いってこと言いたかったんだろう。かっこよくいえば、"learn by doing"。やりながら覚える。やってみて理解する。そういう姿勢じゃないと、これからも新しい仕事を振り辛いってことだったのかもしれない。確かにいちいち説明してる時間がない場合もあるだろうし、失敗するなら早いうちの方が挽回しやすいかもしれない。

 

仕事は嫌な事沢山あるし、サラリーマンも多分向いてないけど、learn by doingは、大きな収穫の1つだった。得意なことも、不得意なことも、大抵の場合、やってみると前よりは出来るようになる。サラリーマン続けようが続けまいが、こういうのは大切にしたいな。