「会社を利用するくらいの気持ち」を持つ。

転職経験のある友人達と飲んだ。

基本的にはネタトークで笑い溢れる飲みだったんだけど、Aがふと漏らした話が印象的だった。Aは大手企業から、異業界同職種の中堅企業に転職して1年目なのだけど、Aの仕事の話が続いたあと、ふと、「今の会社では会社にとことん利用され搾取されているような気がする」と言ってアルコールの入ったグラスを机にコツンと置いた。前の会社では上司からは「会社を利用するくらいの気持ちで頑張ってくれ」と言われたこともあり、その時は感銘を受けてバリバリ頑張っていたけれど、今の会社では担当外の仕事を無茶振りされた挙げ句、ミスがあったら上司は責任逃れ、それでいて揚げ足取りで詰められることもあるらしい。

なんなんだろうかこの違いは。

上司の性格といってしまえばそれまでだけど、話を聞いていると上司個人の問題ではなさそうだった。会社全体の仕事の進め方や、従業員を縛るルール、社風、「空気」…。突き詰めていくと、トップの性格・価値観が如実に事業方針や会社の諸制度に現れているなと感じる。従業員を私物と思っているのだろうか?いや、むしろ、従業員が心を持ったヒトであるという認識がそもそも欠落してるとしか思えない…。

私は、Aの前職上司が言ったように、「会社を利用するくらいの気持ち」で働くので十分だと思う。労働者は一番弱い立場にいるのだから。そしてそういうことを部下に言えるくらいの上司って、度量の広いイケてる上司だと思う。

一人の権限者が会社を利用しようとすると、その他の全員が利用されてしまう。でも従業員皆が会社を利用しようとすれば(もちろんキャリアアップとか合法的な良い意味で)、お客さんにも喜んでもらいながら、従業員も満足度が高まって、組織としての存在意義がある会社になれると思う。

世の中には、会社にはなぜか無抵抗で隷属的にコントロールされなければいけないと思い込んでる人もいて、そういう人には理解してもらえないかもしれない。でも自分が会社を利用するくらいの気持ちがないと、能動的に働くことは難しいし、掛け替えの無い時間を僅かな賃金で売り捨てているのと同じじゃないかなーと思う。